7859 アルメディオ

銘柄分析

H17.3期の中間決算を踏まえて、これまでの分析をまとめました。

長文のため、お時間のある時にどうぞ。(^^;



お気づきの点などがございましたら、お気軽にコメント下さい。(*^-^*)



2004/12/02 : 一部加筆しました。

2004/12/11 : IR回答等を反映して加筆修正しました。





事業内容




 1) CD/DVD用機器の基準・調整用テストCD/DVDの開発・販売。

 2) 音楽CD、CD-ROM/DVDのOEM製造・販売。

 3) CD/DVD計測器の開発・製造・販売、等



世に出回る様々なCDやDVDを模擬してくれるCD/DVDを作りつつ、

音楽CDやCD-ROM/DVDをプレスしてます。



顧客は、CD/DVD用機器の設計・開発・生産・検査での規準として使用。
記録型テストメディアは、製造設備が高コストのため、原盤生産は外部に委託。



各事業の推移は次の通り。

1)と3)をどれだけ成長させるかが鍵かなと思います。








 H11.3H12.3H13.3H14.3H15.3H16.3
1) テストメディア事業1,6231,9202,3092,1032,5252,768
2) クリエイティブメディア事業2,2711,9861,9501,5211,4611,536
3) その他46743830411693174


でも、この企業にとっても最も重要な経営環境を表す推移は、

衰退するCDと、伸びていくDVDとの世代交代への対応状況です。(下図参照)



CD DVD


利益の維持・成長のためには、



 ・CD関連の低下を上回るDVD関連の伸びが必要


なのですが、2002年は、CD関連の低下が激しすぎて収益が落ち込みました。

これは、JRIA(日本レコード協会)が発表している生産残高と同期しています。



競合メーカー



テストメディア専業メーカーは、アルメディオのみと思われます。

競合メーカー情報については、英語ですが、

このサイトが良くまとまっています。




テストメディアを外販し、競合しているのはティアック社

日本ビクター社等ですが、この2社も含めて、大手情報家電メーカーは

内部で自社製品用のテストメディアを一部製造している会社があります。



ただし、このような会社でもアルメディオのテストメディアを

必ず使用しています。理由は下記の2つ。



(1)テストメディアには、開発・生産を行う機器のノウハウが

織り込まれるため、サードパーティ(ハード機器を生産して

いないので競合しない)であるアルメディオでしか作成できない場合がある。



(2)ハード機器のOEM製造を行う場合、バイヤーが指定する

製造仕様書における検査項目の中に、アルメディオのテストメディアの

使用が指定されていると、サプライヤーはそれを使用して検査を

実施なければならなくなる。



業績・指標



各利益と収益性指標は下記の通りです。



ROIC


投下資本に対する利益率(ROIC)はほぼ横ばいと見ています。

最近は、自社株買い等で微増。消却は不要でしょう。(使い道があるため)



あと、ROE、ROAが、H13.3~H15.3の間、ROICより低下しているのは、

証券投資失敗とRFID事業失敗による特別損失が多かったためです。



これが教訓となったのか、H16.3は固定資産除却損のみで特損は減少。

H17.3の1Q、2Qはさらに減少してます。良い方向ですね。



健全性関連です。








































項目H11.3H12.3H13.3H14.3H15.3H16.3H17.3/2Q
株主資本比率(%)54.967.867.871.471.472.176.1
有利子負債(百万円)1,168744651745520421359
純流動資産(百万円)968357096751,2971,6121,754


継続的に借金を減らして、株主資本比率を高めてきています。

なお、純流動資産(=流動資産-負債)も徐々に増え、1株当り357円まで到達してます。

(毎年、利益が出なくてもこの値段分の価値があるということです。)



最後に割安性です。




























項目
株価1,122円
修正PER9.68
修正PFCFR11.38
PBR1.45
EV/EBITDA4.72


修正PER=時価総額/(0.59×経常利益)

修正PFCFR=時価総額/修正FCF


激安ではないですが、機械的バリュースクリーニングには確実に引っかかる。



株主



株主の状況ですが、現役経営陣が筆頭株主であり、子会社リスクは考えなくて良さそうです。



H12に退任された岡田さんの大放出も、自社株買いで対応していて、

最低限の株価対策はとられていると思います。

(岡田さんは、退社後、新規の事業を立ち上げるための資金確保のための売却とのこと。)









(千株)H13.3.31H14.3.31H15.3.31H16.3.31
岡田 修治4714714710
高橋 正343355363375
自社株000304
自社持株会271297294248


企業価値



DCF法(n年後清算モデル)で評価してみました。



現時点のフリーキャッシュフローは、年次の変動を除去して保守的な推定で5.15億円。

(たな卸資産の増加によるキャッシュ流出はマイナスとしてそのまま考慮)

純流動資産がH17.3/2Q時点で17.54億円。



FCF成長率を0%~5%、割引率を2%(市場金利を安全側に仮定)とすると、

企業価値(=純流動資産+将来FCFの割引価値)と理論株価は下記の通りでした。

















成長率 0%清算年数5101520
将来FCF (億円)24.2546.1665.9783.88
企業価値 (億円)41.7963.7083.51101.42
時価総額比 (倍)0.791.211.591.93
理論株価 (円)8491,2951,6972,061
成長率 5%清算年数5101520
将来FCF (億円)28.0860.4797.84140.96
企業価値 (億円)45.6278.01115.38158.50
時価総額比 (倍)0.871.482.193.01
理論株価 (円)9271,5852,3453,221


H17.3/1Q、2Q決算



直近の決算に対するポイント:

・CD関連は、プレス売上が予想より悪い(-20%)、テスト用は良い(+6%)。

 DVD関連は、プレス、テストともに予想より悪い。(-2%、-13%)

 上記穴を埋めるべき、計測器事業が高速化度合いを読み違え、伸びず。



【IR問合せによる補足】




・記録型メディアの開発・生産過程では、記録の高速化、高密度化等、技術革新が進む中で種々の計測装置を使用して、性能・品質保証を行う必要がある。



・メディアメーカーは、メディアの開発・生産に各種計測装置を使用している。



・アルメディオは、テストメディア事業を行う中で各メディアメーカーと取引があり、さらに、テストメディアを開発・製造するにあたり、各種メディア計測装置を
使用しており、メディア周辺の種々の計測に関するノウハウがある。



このノウハウを利用し、独自のメディア計測器を開発・販売するにあたり、
これらのネットワークを利用しながら世界中のメディアメーカーに対して
マーケティング活動を行いながら、事業活動を行っている。






・販売費及び一般管理費が売上高比で2~3%増加。



 → 東証2部への上場とISO取得関連費:約4千万円、

   上場に合わせ構築中の社内業務システム費:約1千万円、

   事業税の販管費:約6百万円とのこと。最後を除いては一過性のもので安心。



【IR問合せによる補足】




東証2部上場の目的は「新規事業育成のための開発/設備投資費用へ
の資金調達のため」だが、具体的には



・現時点において具体的な資金調達の予定はない。



・新規事業は、現在進めている計測器事業において多額の開発費用が発生する可能性もある。



・事業展開としてM&Aも含めた事業提携を行う可能性もある。



・市場の流動性、投資家の注目度等を総合的に勘案した結果、資金調達の自由度、可能性が東証2部のほうがより高いと判断。





・2Qでは、営業外収益で、ビデオグラム権収入15百万。



【IR問合せによる補足】




ビデオグラム権収入は、主にアニメ製作会社が保有する作品のDVD化・販売に対して出資を募り、出資金額により販売数量に応じた配当を受け取るというビジネスにおける配当金収入。



利益配当だけでなく、クリエイティブメディア事業における安定的なDVD受託にも繋がることが目的。



現段階では、出資金額を拡大する方向ではなく、大きく収入が増加する
ようなものではないが、投資対象案件を慎重に検討し、投資効果が得られる案件を進める。





・売上げ高に対する、売上債権・たな卸資産・仕入債務の比率は従来並で問題なし。



投資判断



テストメディアは、複数のメディア対応とメディアの機能増により、

需要は増加傾向。しかし、一般的に製品の種類が増えれば

生産効率は低下傾向なので、企業努力に左右されると思います。



クリエイティブメディアは、音楽CDプレスのジリ貧は規定路線。

映像系のVHS→DVD移行分やカーナビ系の伸びと相殺or微減傾向でしょうか。



計測器は、需要とマッチした製品群が出せた場合にどうなるか未知数ですが、

1Q、2Q決算のIR補足の通り、筋は悪くないと思います。



持ち株は、ホールド。下がれば買い増します。

現状の新規事業への投資具合であれば、資産株まっしぐらなので、

当面、売却する理由はないと思っています。


コメント

  1. より:

    はじめまして
    成長率5%、割引率2%の根拠はなんでしょうか?

  2. gotospace より:

    Gさん、はじめまして。

    割引率は、銀行や国債の利回りよりも安全側に2%として、
    成長率は、DVD関連の成長がだいたい5%位かなと考えました。
    (=根拠に乏しい。すんません。)

    http://csx.jp/~valuejyouhou/contents5.htm#04

    でも述べられてますが、こんなんでました程度に
    見てもらえればと。。。(^^;

  3. JY より:

    今年の今年の秋ごろ、1350円くらいのときから、アルメディオを徐々に買い増しているものです。計五~六万円分くらいの損切りしつつ食い下がってる感じです。今度は千円ちょい超えくらいででまた買い増そうと思ってます(^^;)

    いろいろ情報の提供本当に恩にきますm(_ _)m買ってからずーーと下がりっぱなしなので、なんて株だろうと思い、不安に思っていましたが、少しは心配が軽減しました。gotospaceさんのような方もホールドされているのは心強く思います。

    ところで、「現状の新規事業への投資具合であれば、資産株まっしぐらなので、当面、売却する理由はないと思っています。」とは具体的にどういう意味でしょうか?また、現段階での新規事業の状況はどんな感じなのでしょうか。

  4. TT より:

    はじめまして。最近1200円を超えたくらいの値段で買ったものですが、なかなか上昇しないので、損切ろうか、迷ってます。gotospaseさんのご意見も参考に伺いたいのですが。gotospaseさんのホールドの一番の根拠、この企業の魅力は何ですか。よかったら教えてください。

  5. tyousyuuriki2003 より:

    はじめまして
    ヤフーのアルメディオ掲示板から来たtyousyuuriki2003と
    申します。DCF分析などの細かい分析がしっかりしておられて
    感動しました。 私もIRに問い合わせた情報提供をば

    ①販売費及び一般管理費の増加要因は東証二部への上場関連費用及び
    社内システム導入費用だそうです。

    ②またテストメディア事業に関してですが、新しいメディアや
    機器の黎明期においては、特性等が安定しないため、
    テストメディアの使用量も多くなる傾向にあります。しかし、市場の
    拡大とともに製品も成熟することにより、テストメディア1枚あたりの
    検査台数が多くなり、また市場におけるDVD関連機器と同様にテス
    トメディアの販売価格も下がる傾向にあります。このため、DVD関
    連機器の実績台数の伸び率に比べると、テストメディアの売上高
    の伸び率は低い傾向になるそうです。

    ③会社が力を入れていた計測器事業ですが、現在事業計画そのもの見直し
    ているので最悪撤退の可能性もありそうです。

    ④通期予想の達成はクリエイティブメディア事業が上期と比べて
    大きく伸びそうなこと、特にDVDの受注が好調であることから
    見通しを変えなかったそうです。なお中間決算の受注残高は
    受注から納品までのサイクルが早い為、約一ヶ月程度のものだそうです。

    私の考えですが、テストメディア事業は次世代DVDの移行までは
    横ばいに近い状況が続き、クリエイティブメディア事業の伸びに
    支えられるのではないでしょうか?ブルーレイ、HD DVDのテスト
    メディアそのものの販売は始まっていますし、技術水準が高い分
    来年か再来年に移行が本格化してくればテストメディア事業の
    売上げは相当高くなると思っています。

    長文ですいません。では

  6. gotospace より:

    JYさん、こんばんわ。

    「資産株まっしぐら」の意図するところは、
    投資過多にならずに、このままフリーキャッシュフローが
    良い水準を維持できれば、純流動資産(=流動負債-負債)が
    どんどん増えていき、仮に会社が清算されたとしても、
    現金などの換金性の高い資産(流動資産)で負債を返却した後に、
    かなりの現金が残ることになります。

    その残った金額が、時価総額より多ければ、買収した方がお得、
    という考え方でした。

    新規事業(計測器関連)は、今年度は、読みが外れて、
    (DVD記録メディアの高速化が激しかったので)あまり良くないです。(>_<)

  7. gotospace より:

    TTさん、はじめまして。

    割安性と健全性は良い方ですよね。
    預金よりは良いかなと思ってます。

    本当は、今の水準で新規買いできれば良かったんですけどね。(^^;

  8. gotospace より:

    tyousyuuriki2003さん、はじめまして!

    IRさんに問い合わせられているなんで凄いです。
    しかも、貴重な情報を教えていただいてとても嬉しいです。:-)

    新たな発見が一杯です。

    ・販売費及び一般管理費の増加要因が
     一時的だったことにはホッとしました。

    ・テストメディア、クリエイティブメディア、そして、DVDとCD、
     これら各事業ごとの収益をIRに問い合わせてみようと思っています。

    ・計測器事業、ずるずる行ってしまうと嫌ですよね。
     RFIDでもそうでしたが、その当りの見切りは良さそうです。

    > 私の考えですが、テストメディア事業は次世代DVDの移行までは
    > 横ばいに近い状況が続き、クリエイティブメディア事業の伸びに
    > 支えられるのではないでしょうか?

    クリエイティブメディア事業は、囲い込めばとても手堅い事業
    だと思います。新規メディアへの切替えでも、それほど
    バランスシートを痛めていないので、次世代DVDへの移行は、
    さらなる飛躍が期待できるかもしれないですね。:-)

    今後ともよろしくお願い致します。

  9. アルメデ より:

    この株は1800円程度まで余裕で行くと思いますよ。
    最近はやっていることが地味なので評価したい

  10. gotospace より:

    記事にはしていませんでしたが、
    上場以来の株価は、各期のEPS推移とよく一致しています。

    しかし、今期の予想EPSに対しては、
    株価が通常よりも大きく下降しているので、
    いずれ見直されるものと考えています。

    最近は新規事業も慎重そうでその当りは好感もてますね。:-)

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